音楽というのは、時に記憶と強く紐づく。
「この歌が好きだった時、こんな心情だったな」とか。時が経って聴くと、そういうことを思い出すことがある。
海月もそう。
ふと思い出して懐かしい曲を聴くと、消し去ったはずのトラウマが蘇ったりする。思い出がすべて美しいと思ったら大間違いだ!!(こじらせた人間の思考)
それはさておき。
ここからは作品についての話です。ネタバレはありません。
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校舎の片隅で、小さな愛の夢を - 小説投稿エブリスタ
ふいに聴こえてきたピアノの音色に、心奪われた。
estar.jp
中野先生にとっての『愛の夢 第3番』というのは、過去の〝記憶〟であり、忘れられない〝人生の一幕〟である。
莉乃にとっての『愛の夢 第3番』というのは、昔に心惹かれた曲であり、中野先生と接点を持つための〝鍵〟である。
海月にとっての『愛の夢 第3番』というのは、〝人生の彩り〟である。(は?)
海月のことはええねん。
中野先生にとっての『愛の夢 第3番』というのは、過去の〝記憶〟であり、忘れられない〝人生の一幕〟である。
つまり、音楽と記憶。
ピアノについて語るほどの知識はありませんが、音って本当に奏者の感情をダイレクトに乗せて届けるものだと思っています。
海月はギターなんですけどね。
ギターもそうです。そのときの感情で奏でる音は全然違います。
苛立っているときは、とげとげした荒い音。悲しいときは、どこか控えめな音。楽しいときは、跳ねるように明るい音。
同じ曲なのに、感情ひとつで音が全然違うんです。って、海月は思っています。
ピアノは聞き専ですが、同じ曲でもその人の癖などによっても、まったく違う曲になる気がします。
それこそ『愛の夢 第3番』に関しては、いろんな人の演奏を聴きました。
優しい音色。
力強い音色。
感情の乗らない音。
不器用な音。さまざま。
そんな音の違いを、本作には取り入れたくて意識しました。
中野先生が奏でる曲はいつも同じですが、その音は微妙に毎回違います。
どんな感情で弾いているのか。音色と感情の移り変わりを、作中に散りばめました。
感想を拝見する限り、それが伝わっているようで本当に嬉しいです。読書しながらピアノの音が聴こえるようでしたら、私の勝ちです。本当に嬉しい。
それにしても、我が作品ながら中野先生メロい。
闇を抱えた冷たい人は大好物ですよ。(でしょうね)


(ピアノを描くの難しかった)
いつも長編は思い入れが強くなりがちで、自作品にも関わらず大好きになるんですけども。
今回も例外なくそうなりました。
好きだなぁ。中野先生。